着いた場所はよくテレビでCMをやっている

安さが売りの焼肉屋さんだった。


大人数のため座敷に通され、私は理香ちゃんとスピッツの間に収まって、
ウーロン茶を頼んだ。


目の前のテーブルの上には、

使い古された大きな鉄板がきれいに磨かれている。


20人くらい集まっただろうか。


遠くの方で王子様が

乾杯前の挨拶をしているようだが

まわりの騒音ではっきりと聞こえない。



つかさ君の姿は


まだない。



「・・・とゆうことで!ライブ大盛況を祝しまして、かんぱーい」


私はスピッツと理香ちゃんと、

前に座っている初対面の男の子達と


グラスを合わせた。


斜め前の女の子は、

慣れた手つきで、お肉と野菜を裏返していた。


「はい、ゆりちゃん」


女の子は私の器によそいながらにっこり笑った。


何で私の名前‥‥



瞬間的に、ピンと来た。


お箸を掴んだ
自分の手が震える。


「あ・・・ありがとうございます・・・」


そう言うのがやっとだった。


間違いない。


明るく染めた髪にはパーマが当たっている。


つかさ君の彼女だ。