…先ほどのテーブルが遥か高い建造物になっていた。
先ほどの自分の小指くらいの大きさになってしまったのだ。

「戻ってない!」

そう私が怒ると、呆れたように声が聞こえた。

「最初はビンの半分くらいしか飲まなかったのに、さっきのは1本まるまる飲み干したじゃないか。小さくなって当たり前だよ。」

飲んだ量と大きさが比例するなら、言ってることはもっともだ。
だが、今はそんな原因がどうとかを知りたいわけじゃない。もとの大きさに戻りたいのだ。
そうだ、まだ明るい色のクスリは残っていたはず。あれの残りを全部飲めば…と思ったが、階段が付いてるわけでもない大きな建造物を見上げながら、目標は遥か空の上であることを思い知らされた。

「無理じゃん…。」

八つ当たりだが、ドアのほうを睨み付ける。

「でも…これであっち側に行けるだろう?」

気付けばドアはちょうどいい大きさになっていた。
当初の目的はそれだったのだが、今となってはどうでもいいことだった。