勝手にお城の中に入るのも怒られそうなので、とりあえずお城のまわりを歩いてみることにした。

お城、と言っても白の勢力に対抗すべく造られた城壁、というようなものではなく、草木や花に囲まれたメルヘンチックな場所だった。
お城自体も広いようで、壁づたいにしばらく歩くと、何やら人の声が聞こえる。裏庭で何か行われているようだ。

そっと覗くと、多くの人が集まっており、気の強そうな女の人が一段と高い場所にいる。頭に王冠があり、おそらく彼女が女王なのだろう。
女王の前には向かい合うように一人の男性。その後ろにはその他大勢がいる。
ここでちさの言葉を思い出した。

そう、今ここで行われているのは、おそらく裁判だろう。
どうやらすでに佳境のようだ。

「鶴来じゅういち、あなたはタルト窃盗容疑で打ち首です。」

「ま…待ってください!証拠がなさすぎる…。」

「私がそうと決めたらそうなのです。衛兵、何をしているの?早くこやつを連れて行きなさい。」

彼の必死の抵抗も空しく、二人の衛兵に掴まれて奥へと連れて行かれてしまった。