危ないところだった。ちさが来てくれなかったら、間違えてそのまま白の城に行くところだった。
しかし、なぜ赤の味方であるちさが白の領地に堂々と入れるのか。そして、なぜ先ほどの門にも赤の兵士がいたのか。引っ掛かることは多かったが、自分に都合良く事が運ばれてるので気にしないことにした。

ひとりサクサクと歩くちさに付いて行くと、そこはだだっ広い草原だった。木や岩といった邪魔になるようなものはなく、ただ広い敷地。
そして、その向こうにもうひとつのお城が見える。おそらくあれが赤の城だろう。

敵国同士なのにこの近い距離はなんのため…?
それに、塀に囲まれてるわりには、城と城の間には塀はないんだ…と思っていると、ふっとちさの歩みが止まった。

「見えるでしょう。あのお城が赤の城よ。あなたが行くべき場所はあそこね。気が変わったのなら仕方ないけど…。」

「え?加藤さんは一緒に行かないの?」

そう聞くと、ちさは赤の城に背を向けた。

「私の行くべき場所はあの城じゃないわ。それに、裁判はあまり好きじゃないのよね。」

そして、もと来た道を歩き始めた。
裁判?
何の事だろうか。