「そうか。俺の名前は半田たまごろうだ。見ればわかるかもしれないがな。」

いや、見てわかるはずがないが。

「そうだ、ありすがわと聞いて思い出した。この辺でアリスと名乗る女子を見なかったか?」

突然のことで思わずビクッと体が震えた。だが、どうやら私とアリスは別人だと思っているようだ。

「アリス…が、どうかしたんですか?」

「うむ。女王陛下からアリスという女子を見かけたら知らせろとの命を受けてな。ほれ、このネクタイはこの見張りの報酬だ。」

そう言って腰巻きみたいなネクタイを自慢げに見せてきた。

女王が私のことを捜している。もし、たまごろうの言っている女王が赤の女王だったら、このまま連絡させて赤の城に連れてってもらうほうが安全かもしれない。
だが、白の女王が来てしまったら、どうなることかわからない。

私は、たまごろうに感づかれないように(と言っても感づくことなどなさそうだが)そっと質問した。

「あの…その女王様って、赤の女王ですか?白の女王ですか?」

「なぜそんなことを知りたい?」

こういう時に限ってなぜちょっと鋭いのか。