その言葉にいっせいに「えーっ!」という声があがった(ただしねねは寝ぼけ眼で空中を見つめている)。

「答えを知らないでなぞなぞを出すのは感心しないな。」

「答えがなんなのかワクワクして損したよぉ!」

まるで私が悪いことをしたみたいだ。

「いや、私は…。」

その時だった。家のドアが開きコックが鍋を持って出て来た。

「おっ、スープが出来たかな。」

ハヤトがそう言うように、鍋の中身はスープのようだ。ただ、距離は近いというほどでもないのに鼻につんと来るものがある。この匂いは…胡椒だ。これだけ鼻に来るということは、明らかに胡椒の入れすぎだ。
コックが鍋のフタを開けると、さらにその胡椒の匂いは強いものになった。

くしゃみと涙で大変になりながらも3人は喜んで(?)いるようだが、私の口には合いそうにない。

「これ…胡椒入れすぎなんじゃ…。」

その一言でコックの顔色が変わった。そうかと思ったら、そのへんにある皿やコップなどを手当たり次第こっちに投げてきた。

「ちょっと…あの…やめ…。」

口を挟む間もなく物を投げてくるコック。イスの後ろに隠れて避けていたものの、雨のように食器が降り注ぐこの状況、このままじゃ鍋さえも投げてきそうなので、冷静にスープを飲み続けている3人を尻目にその場から逃げ出した。