「何なのよぉ、この絵!」

仕方なく元来た道を戻ろうと振り返ると、そこには見たくもない光景が広がっていた。そう、道がこつぜんと消えていたのだ。

「嘘っ、なんなのよぉ~。」

その場でへたりこんだ私に声がかかる。

「アリス、困っているね。」

見ると何か制服のような服を来た男が立っていた。白いマークが胸のところにあるので、これが企業のマークか何かだろうか。

「あなたは…?」

「ここは深い森の中。あなたの声は誰にも届かない。聞こうとする者はこの森にはいないから。」

なんかヤバい雰囲気を出しているのがなんとなくわかる。いや、今までの人達もある意味ヤバかったけれど、今回は今までとは違っていた。

「王は目覚めさせん!」

そう言いながら後ろに隠し持っていた槍をこちらに向けた。

「ちょっと、何これ…。」

後退りするも、後ろは壁。あとは左右の森の奥へと逃げるしかないが、足が震えて思うようにいかない。

「あの…王様が…何?」

私の質問もむなしく、男は槍を振りかざした。もうだめだと死を覚悟したとき、ザッという音と共に槍が地面に落ちる音がした。