まったく話が噛み合わない。これは私の理解力が足りないのか、それとも流されてるのか。私は苛立ちながらも尋ねた。

「…もういいわ。とにかく私はもとの世界に帰りたいの!もとの、世界に、帰る、方法を、知らない??」

嫌味な感じがするくらい質問を強調してみたが、不敵な笑みを崩さずにちさは答えた。

「こちらとあちら、どちらが『もと』かしら。まぁいいわ。あなたのいう世界に戻りたいなら、あなたの物語を終わらせなきゃ。ほら、早くあの子を追いかけて。」

ちさの指差したほうを見ると、とうに先に行ってしまったと思われた白山うみが走っていた。
ちさの言ってることは気になることだらけだが、とりあえず今理解出来たのはうみを追いかけなければならないこと。

「それで本当に…って…あれ。」

振り向くとすでにちさは消えていた。ここでうみを見失ってしまったら、また道をも見失ってしまう。選択肢のない私はうみを追いかけることにした。