どこに続いてるかもわからない道を歩きながら、どう見ても日本じゃないような…とか思いつつも、それを認めてしまっては余計に不安になるので、それは考えないようにした。
しかし、それでなくても不安になるような要素はいくらでもあった。
とにかく自然あふれる屋外にいるはずなのに、なぜだか感じるのは不自然な雰囲気だった。
誰かが作ったような世界。言うなればテーマパークの一画だろうか。そんな、閉鎖された空間にいるような感じがするのだ。

誰もいない空間から逃げ出したくてうみを追いかけてここまで来たが、ここには虫の声や鳥のさえずりが聞こえる。先ほどの沈黙した街よりかは遥かに暖かみがあってマシだが、人に会えないままではあまり解決になっていない。

「誰か、誰かいないの!?」

ダメもとで叫んでみるものの、誰も現れないことはわかりきったことだった。
だが、予想に反して知ってる顔が目の前に現れた。それは今朝会ったばかりの顔、加藤ちさだった。

「ふふ…どうしたの、そんな朽ちたような声出して…。」

「加藤さん…良かった、誰にも会えないかと思った。」