部屋の鍵は外れた。


部屋を出ると、待ち侘びていたかのように、漆黒のフード付きマントのような物で頭から足まで被(おお)っている人がいる。


ただそいつは僕に背を向けていて、身長が高いということくらいしかわからない。


「付いてこい」


そう言って歩きだしたそいつの声は低く、小さく、かつ腹を押し潰されるような嫌な声だった。


別に逃げても出口など見つけられないだろうから、素直に付いていく。


廊下は暗く、似たような扉が等間隔に並んでいて、たまに黒で身を纏った者が扉の前に立っている。


どうやら、沢山の人が閉じ込められているみたいだな。