―偽愛―




コンコン コンコン





うっさいなぁ…

ハッ!




アタシって けっこう


図太い…?






隣りの部屋からの 壁を叩く音で 目が覚める



時計を見ると まだ朝の5時



外は 少し夜が明けてきたみたい







隣りには また優人がいない…




“彼氏…浮気しとるで…”



網戸から聞こえる海翔の声



“…なんで?海翔が知ってるの?”




“さっき彼氏…出て行ったで。海辺を女と歩いとったで…”






ダダダ




海翔の言葉を全部 聞き終わらないうちに


アタシの身体は 勝手に動いていた


朝早く アタシは、なにふり構わず 走った



自分でも 信じられないぐらい早く…