ケガ、してんじゃない! 人込みの中をかき分けながら あたしは前に進む。 ドンッ、と男を壁に押し付けた海は何かを言ってるんだけど、 ここからじゃ聞き取れない。 やっとの思いで前にたどり着いた時にはもう 海の拳は男の頬に向かっていて 「バカ!!!」 咄嗟にあたしは飛び出した。 パシッ、と高い音が鳴って あたしが捕らえた海の右手。 「セ…セーフ…」 海の拳は頬のギリギリで止まった。