こんな事されなくても、あたしは、自分の力で自分を守れる。 そんなに か弱くない。 「…もうっ!これあげるから早くどいて!」 あたしは咄嗟に海の右手にアタリ棒を握らせて 横から飛んで来た平手を掴む。 「おい、南美!」 なんなの、あいつはもう! 「行くぞ!」 …はい?! そう言うと海はおもむろにあたしの左手を掴んだ。 「…ちょ…っ?!」 その瞬間 「おらっ!」 海は足で砂を蹴り上げて視界を濁らせる。 「…なっ」 あたしは呆気に取られる時間もなく 腕を引かれてなすがまま走った。