「ナメんじゃねーよ!!!!」
うわぁ。来た。
真っ正面からの拳。
女のすることじゃないな。なんて思いながら
あたしも右の拳をつくる。
どうしようか。
いい加減、腹に一発くらい入れとくか。
飛んで来た拳を
あたしが左手で止める…
予定だったのに。
―パシッ
小さく響いた高い音に
突然悪くなった視界。
目の前の明るすぎる金色が
なんなのか気付くのに時間がかかった。
「え……何、やってんの?あんた。」
「待ってろって言ったじゃん。」
…はい?
また、あたしを庇うように
あたしを壁と自分の間に挟む、海。
「だから、何やってんのってばっ。」
「南美こそ、何する気だったんだよ?」
え?
何って…正当防衛?

