「那智」 「なんで、ここにいるの」 那智は俺の目を正面から見ようとしない。 つかつかと近づき、俺の隣を素通りし、鍵穴にキィを差し込んだ。 「帰ってよ」 「誤解だ」 那智がドアをあけ、俺を締め出そうとするのを、俺は無理矢理左手でこじ開けた。 体を隙間に滑り込ませ、 後ろ手にドアを閉める。 久しぶりの、那智の部屋。