ふわりと、白い手が揺れた。

手が揺れる度に髪も揺れて、

“順――”

李梨にしか見えなかった――。

「順くん!こっちだよ!」

「…ああ」

返事をすると同時に現実に戻る。

返事をした俺の顔は間抜けだっただろう。

李梨がいるわけない…

これは美波ちゃんだと自分に言い聞かせた。