10年彼女

ふと奈流が立ち止まる。

「そういえば、恭弥から女の子の話聞かないよねー。
実際どうなの?
告られてんの知ってるんだから!」

気にせず歩く俺。

「あ?知るか。」

「報告しなさいって言ってるでしょ!!」

「女に興味なんて無いし。」

「じゃあ男がいいの?」

「男にも無い。」

奈流が走って横に並ぶ。

「恭弥がんばれー。」

「知るか。お前こそふっきれよ。」

奈流が笑った。

無理な笑顔ではなく、本物の笑顔で。

「うん!頑張るよ!!」

俺もつられて笑う。

良かった。
こいつが笑顔になれて。
いつもうるさいのが静かだと調子狂うしな。