10年彼女

奈流の頭にポンと手を置く。

「あんま無理すんなよ。」

俺、いつからこんなに背高くなったんだっけ?
昔は奈流と同じくらいだったのに、今は軽く10㎝は違う気がする。

「無理なんてしてないよッ!」

ムキになって俺を見上げる奈流。

奈流の頭にのせた手を奈流の眉間に移す。
人差し指で眉間をつつく。

「お前が無理して笑うと此処にしわがよるんだよ。」

「え?」

「あと、声が少し高くなる。」

「そうなのッ?!」

「鼻が膨らむ。」

「うそッッ!!」

「嘘。」

「…意地悪っ。」

「はいはい。前見て歩け。こけるぞ。」

むっとして俺から目を離し、前を見る奈流。

初めて口で勝った気がする…。