まるごと愛してる。

駅に着いた頃、あることに気がついた。

いつも右ポケットにある携帯が、

「ないっ!!!」

無意識にかなり大声でさけんでいた私に、皆が振り向く。

「なにが?」

こんなことには慣れている巧が平然と聞く。

「けーたいがぁ、ないのぉっ」

既に半ベソ状態。

「はぁ?いつからだよ?」

「分かんない…朝から見てないもん…」

朝、駅に来たときは、あった。