「さ―ゆ―み―!!なに、黄昏てんの!!」
窓の外を眺めながら彼のことを考えていると突然、珠希がにょきっと顔を覗かせ、紗由美の頬を抓った。
「い、いひゃい…」
『痛い』と言いたいのだが、頬を抓られているために上手く発音できない。それを見て珠希は、
「『いひゃい』って何!?痛いでしょ!?」
と、盛大に笑って言った。
ちなみに、未だに頬は抓られたままである。
「は…はらひへ…」
「あぁ、ごめんごめん」
涙目になって訴える紗由美を見て、珠希はようやく頬から手を離す。
赤く腫れた頬が、なにやら痛々しい。
「めっちゃ痛かったよ…」
抓られた左頬をさすりながら、紗由美は言った。

