朝の甘すぎる程のバニラの香りが、頭から離れなくて。 思わず振り向いてしまう程の男の子を、頭の中に思い浮かべる。 茶色く染めたらしい、短めの髪。顔は見えなかったけど、少し離れたところからでも分かる、きついバニラの香り……… 男の子の身長は、意外と高かったっけ……… 名前も知らない彼のことを考えていると、今は冬なのに、心も体もポカポカと温かくなっていくような気がした。