昂はずっと前を向いていて、表情を確認出来なかったけど、自分の気持ちが伝われば今はそれでいい。紗由美は、そんな気持ちでいっぱいだった。
この時、昂は一瞬、本当に一瞬だけ、頬を赤く染めていた。
誰も気付いて、ない。
「そう言われたの初めて、だな…」
ぼそりと、昂は呟いた。
それには紗由美だけではなく、珠希まで反応して昂の横顔を見つめる。
「………え?」
「何、どういう意味?」
2人に詰め寄られて『しまった!!』という表情をしていたが、既に遅い。
2人とも、目がらんらんと輝いている。
嫌そうな顔をしながら、昂は渋々と答えた。

