不覚にも、紗由美はその表情にドキリと胸を鳴らした。 別に昂が好きだからではないけど。その微笑があまりにも綺麗だったから。 「あぁ…それ多分、俺」 昂は、微笑を浮かべたままそう言った。 その微笑のおかげか、「バニラの匂いに包まれてる男の子なんて、他にいないよね」と言って、紗由美も微笑する。 ふにゃりとした、綺麗な笑顔を浮かべる。 「私も、バニラ大好きなんだ」 紗由美のその一言に、昂はドキッとした。