俺と葉月の四十九日

「その黄色い紙が僕が書いた将来の夢だよ」


そう言ってタクミは、缶の中を指差す。

黄色…ああ、コレか。


両手についた土を軽く払い、黄色の紙を抜き取った。
隣で覗き込むタクミに差し出してやる。


が、タクミは笑い、静かに首を振った。


「それ、ケロリンにあげる」
「え?だって大切なもんだろ?」
「うん、だからあげる。カプセル探してくれたから。飴もあげるね」

いや、貰っても食えねぇし。

「僕の将来の夢、ケロリンに継いでほしいんだ」
「継ぐ?」

それって、年上から年下に言うセリフじゃね?
使い所間違ってんぞ?

けどまぁ…嬉しくねぇって言ったら嘘だ。嬉しい。
大切な物をくれるんだもんな。

タクミかわいいじゃん。


「良かったね、圭ちゃん」
「まぁな」
「飴、食べなよ」
「いや、食えねぇよ」


言い合う俺と安田の前で、タクミはゆっくりと立ち上がった。
眩しそうに空を見上げている。


どうしたんだ?急に。


「ケロリン」
「何だ?」
「今日はありがとう。カプセル見れて僕、本当に嬉しかった」
「あ…あぁ」

「葉月ちゃんもありがとう。二人はとっても優しいね。僕…今日一日、すっごくすっごく楽しかった」