俺と葉月の四十九日

「圭ちゃん圭ちゃん」
「あ?何?」
「久しぶりに、こっちの道から行こうよ」


駅へと向かう道の十字路。

安田が行きたいと指したのは銀杏並木がある方の道。

そういえば、ガキの頃はよく安田と落ち葉拾いに行ったり、中学の時は安田を後ろに乗せて、チャリで通ったりしてた。


考えてみたら、高校に入ってからは一度も通ってなかったな。

駅へ向かうには遠回りになるからと、通らなかった。


「秋程奇麗じゃないけど、緑色の銀杏の葉もツヤツヤしてて奇麗だよ?」
「安田、通ってたの?」
「たまに、私こっちの道好きだもん」


そう、安田は自然の景色が好きなんだ。
昔からだ。


春は風の匂い、桜の蕾。
夏は湿った空気、夕焼け。
秋は涼しい風、紅葉。
冬は耳鳴りがしそうな朝の空、雪、星空。


日常で普通で当たり前の毎日に、安田はいつも何かを見つけて感動する奴だった。



(圭ちゃん、毎日同じなんて無いんだよ?一生の内に今日は一度きりなんだから、何か見つけないと損だって私は思う)



そんな事も言った事がある。


すげぇポジティブ主義、とその時は思ったが、そういう安田の発想に励まされた事もあったのは事実だ。