俺と葉月の四十九日

嫌な思いさせるし、俺も嫌だ。

だって安田は何にも悪い事してねぇ。
なのに勝手な噂だけが回ってるなんてさ、かなり不愉快じゃん。


安田はふぅんとうなづいて立ち上がった。
上目で俺を見上げる。


何?


「ヘコんでんの?圭ちゃん」
「は?ヘコんでねぇよ」
「そう?ホントに?」
「ああ、ヘコんでねぇ。ヘコむ理由もねぇし」

「そっか!」

ならいいやと安田は笑った。

それ以上、何も聞いてこねぇ。
こういうトコも変わらねぇな。


安田はいつも、突っ込んで問いただしたりしない奴だ。

興味がねぇのか、聞くつもりがねぇのかわかんねぇけど、多分、何かを察して聞くつもりがねぇんだと思う。


俺がガキの頃ケンカで負けた時も、親に怒られて泣いてた時も、中学の頃バスケ部のスタメンから外されてヘコんでた時も、何も聞いてこなかった。

今みたいに笑って、そっか!と笑って…ただ隣にいた。

俺はいつも、あっち行けよと八つ当たりしてたけど、コイツのそんな所が付き合いやすくて…心地良かったんだよな。


安田がユーレイになった今でも、変わりない様に感じる。


安田と喧嘩したのは、ただ一度だけ。
中学二年の時だ。