俺と葉月の四十九日

「冷たっ」

ベンチの座面は雨の為に湿っていた。


「座っちゃったの?」
お前がベンチでって言ったんだろうが…。

「お尻、おもらしみたいになっちゃってるよ?」
「うるせぇ」

俺は再びベンチに座る。
ライターを持ち、線香花火に火を着けた。

微かに火薬が弾ける音と、飛び散る小さな火。

やがてそれは丸い雫となり、まだ散り足りない火の余韻を残しながら地面に落ちて弾けた。


安田は地面に屈み込んで座り、花火をじっと見つめていた。

雫が落ちると、安田の視線も地面に落ちる。

おもしろい奴。


「次は二本一緒にやろうよ」


リクエスト通りにやってやると、安田は再び花火を見つめる。


「圭ちゃん昔、線香花火で火傷したね」
「ああ、あった」

十本まとめてやろうとしたら、火がでかくなりすぎて火傷した。

「あの時の火傷、残ってる?」
「治ったら消えた」
「そっか」

安田は小さく微笑みながら花火を見つめている。


俺は、安田を見つめていた。


こいつ、もうすぐ消えちまうんだ…。
今日の12時までには、確実に消えちまう。


俺は何をしたらいい?

何をしたい?


安田…もっとワガママ言ってくれよ。