俺と葉月の四十九日

カッコつけてただけだ。

どこまで後悔すりゃいいんだ?俺。


「バイト遅れちゃうよ?」

安田に言われ、携帯で時間を確認した。


やべっ!
慌ててチャリにまたがる。
ペダルに足をかけ、安田を振り返った。

「いってらっしゃい」
安田は笑って手を振っていた。

いつもと変わらずに。


…変わらなけりゃいい。
明日も明後日も、この先ずっと、こんな毎日が続けば。







昼時も過ぎたコンビニ。

俺は店番をしながら、カウンターで考え事をしていた。

考える事は決まってる。

明日の四十九日。


ホントに安田は逝っちまうんだろうか。


逝くのか?なんて今更聞けねぇけど…俺にはまだ、別れの覚悟なんてできてねぇ。

覚悟どころか、こうだったらいいのに…なんて願いばかり。

安田が消えたら実感するのか?


嫌だ…実感したくねぇ。


ワガママばっかりだ、俺。
安田みてぇになれねぇ。


情けない自分に嫌気。


ため息をつく俺の視界に、自動ドア前を横切る人影が見えた。

何だ?

その人影は、怪しいくらいに何度も店前を通り過ぎては戻り、雑誌コーナー辺りから顔を半分出して中を覗いている。