笑う安田に笑い返す事もできねぇ。


ごめんな、安田。

何もできなくて…ごめん。


そして俺に、安田が逝く事を現実として受け止めなければならない覚悟が迫っていた。









「圭ちゃん!!」


バイトが終わり、店を出た俺の前に、安田が飛び出してきた。
本屋に居る安田を、迎えに行こうとした矢先。


「どうした?」

安田の表情がおかしい。
焦っている…慌てているのか?


安田は息を飲み、震える声で叫んだ。


「あ…ああ足っ!!」


どもる安田。
一体何だ?


「足がどうかし……」


………何?


一瞬、目を疑った。

足と叫んだ安田につられ、足元を見下ろした俺が見たのは……。


「消えかかってる!!」

安田の足は、膝あたりまで消えていた!
いつもは透けているくらいなのに…はっきりと…消えてる…。


「っ何で?!」
「わかんないっ!!」

安田は必死の形相で頭を横に振りまくる。

だよな?

安田だって慌ててるんだもんな…落ち着け、俺!!


何でだ?
四十九日は一週間先だろ?!
今から消え始めるってどういう事だ!

全っ然わかんねぇっ!!


「どうしよう!圭ちゃん!」