「見つけたぞ!二人!」


集中を始めた途端、声が聞こえた。
振り返るとブル田が立っていた。

右手にフィギュアを握りしめ…。


「フィギュア取ったのか?」
「もちろんだ!」

笑うブル田。
すっげぇいい顔!


「見て下さい!安田サン!」
「あ〜すごいすごい!」

ブル田のフィギュアを見、安田は手を叩く。
ブル田は、まるで母親に褒められた子供の様に得意げな顔だ。


俺にはフィギュアを集める心境がわからねぇ。
物に対する価値観が違うし、仕方ねぇか。


「おい、圭介」

ブル田が肘で俺をこついてきた。
背が低いから肋骨に肘があたる。


「貴様、安田サンと何を語っていた」

語るって…。

「何やら手を出してやっていた様だが」

見てたのか。

俺とブル田の会話が聞こえていたんだろう。
安田はニヤリと笑う。

「ブル田には内緒〜」
「そんな!僕も秘密を共有させて下さいっ!」

そんな大層なもんじゃねぇよ。

「僕を置き去りにした理由はこれか?!圭介!」
「お前がクジから離れねぇのが悪いんだろ?!」

置き去りとか言うな!
しかも理由知らねぇだろ?勢いで発言するな!
フィギュア取れたんだからいいじゃねぇか!