俺と葉月の四十九日

どれだけ長い年月を安田と過ごしていたか、それだけで分かる。


ずっと一緒だった…。

1番近い存在だった。


今は…1番近くに居て欲しい存在。


でも、もう遠い。


そんなに長く一緒に居たのに、俺は気持ちに気付かなかった。
ただ長く居ただけになっちまった。

幼なじみとして、ただ居ただけ。


こんな風に考えちまうのも、安田が死んでから気持ちに気付いた馬鹿な自分のせいだ。

安田のせいじゃねぇ…俺のせい。


今の俺は、幼なじみの枠外…素の気持ちで安田を見る事ができるのに。


こうして安田が隣に居る、隣に居るだけで、髪の香りがしそうなくらいの距離に居るだけで、俺は考える。


知らないだろ?安田。


安田が話をする、笑う…そんな安田をかわいいと思うし、綺麗だと思う。

触れたいし、手も繋ぎたい…抱きしめたい。


思わず笑った。
欲求不満みてぇ、俺。

正直そうだ。

安田が隣に居るのに、何もできねぇんだから。
気持ちはあるのに、何もできねぇんだから。

気持ちを伝える事もしないと決めた俺が、男としてできる事はない。


それでいいと決めた、けど…。


「圭ちゃん、花火!」