俺と葉月の四十九日

気付かなかっただけで、安田から与えられたものはたくさんある。
知らずに影響を受けていた。


俺は安田に、何を与えてやれたろう。


何も…無い様な気もする。

これから与えてやれる事は…きっと無い、だからか?こんな風に思ってしまうのは。

こんな風に、安田がやりたい事にしか付き合ってやれねぇ。


それでも安田はきっと、ありがとうと笑うだろう。
楽しかったと笑うだろう。


安田には笑っていてほしい。


何もしてやれない俺には贅沢かもしれねぇけど、自己満足かもしれねぇけど…笑っていてほしい。
その気持ちに気付いた時、俺は決めた事がある。


あの世に逝く時も…安田が笑うなら俺も笑う。

笑って、またなって言おう。


はっきり言って自信はねぇ。


安田はどう思っているんだろう、俺と離れる事を。

離れて、別々の世界に別れる事を。

あいつの事だから、あの世でもうまく立ち回れるんじゃねぇかとは思うけど、俺は…すぐには無理かもしれねぇ。

まだ、安田が居ない世界に堪える覚悟も無いし、どんな風になるのかさえ想像つかねぇ。


ただ分かるのは…それでも俺は生きなきゃならねぇって事だけだ。