俺と葉月の四十九日

映画の間、持てばいいと祈りつつ。

子供にお菓子を買い与える親の心理、俺は早々と理解した。
頼むから、これで大人しくしていてくれよ?






「あ〜!良かったねぇ、映画!」

終了後、安田は満足そうにシートの上で伸びをした。

うん、良かった。
恋愛映画はあまり興味なかったが、これなら別に抵抗ない。


会場を後に映画館を出た。

外に出たとたん、瞳に飛び込んでくる眩しい太陽の明るさ。
思わず目を細めて空を仰いだ。

これ!この暗い映画館を出て太陽の眩しさを感じると、映画観たなって気がすんだよなぁ。


「ほっ!ほくほよはっ…」
「まだ食ってんのか!」


俺と安田の後ろでは、ポップコーンを口に詰め込み、容器を抱えて歩くブル田。

映画の余韻ぶち壊し。


「多過ぎるぞ?!この量!」
やっぱり?俺も多いと思ったんだよな。


けど、映画の間大人しくしてもらう為には、小さいよりでかい方がいいだろうしな。

ポップコーン効果のおかげか、ブル田は静かにしていた。
ガサガサと容器をあさる音は常にしていたが。

考えれば、二人に買い与えたつもりでも、実質ブル田一人で食べる事になるんだな。
忘れてた。