タクミを忘れずにいてくれる様に祈りを込めて、俺はカプセルを埋め直した。

目印の石を置く。



これでいい、これでいいんだ…。




「よし、レアチーズケーキ買って帰るか」


立ち上がった俺を、安田は疑問顔で見上げてきた。


「ケーキ?」
「お前、誕生日だろ」
「…あ」


……忘れてたのかよ。

さすが安田。
朝、あんなにアピールしまくりだったくせに。


「映画は来月な」
「え?連れてってくれるの?!」
「観たいんだろ?」


限られた時間…見せてやるよ。

お前が見たい物を。


それくらいしか俺にはできねぇからな。



「圭ちゃん!超優しい!!」


はしゃいで、踊る様に歩き出す安田を見ながら、ぼんやりと思った。





安田、お前が居なくなる時…その時は、俺はきっと………―。