『だから、好きなんだって。』



女が屋上の扉を開ける音が聞こえた俺は少し安心した気持ちで目をつぶった。







しかし、そんな俺の睡眠はすぐに妨げられた。








「颯太っ!!起きろ颯ー太っ!!」


うるさく耳元で喚く結城の声で俺は苛立ちながらも目を開けた。




「…ぁ…?」






眩しい光が差し込んできて俺が目をしかめていると、結城は、憐れんでいるような目で俺を見てきた。




「颯太。一体どーしたんだ!?百合ちゃん泣いてたよ?」



……は?





いきなり結城が何の話をしているか分からず、目をいっそうしかめると、




「ったく、さっき屋上に来た子だろー!?」







……あぁ、





あの女か…










…だから…何なんだ?




「知らねぇよ。つか、結城もうるさい。俺、今寝てるのわかんない?」








俺がそう言うと、結城はさらに憐れんだ目をしてきた。









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