よーく考えて。
篠原龍斗くんは超イケメンくんなわけで、転校初日にして男女関わらずに人気者。
そんな人を名前で呼んでごらんなさいよ。しかも呼び捨てで。
…たとえ幼馴染みといえど殺されかねない…!
特に女の妬みは恐ろしいし。
まず幼馴染みって知られるだけで面倒なことになるの目に見えてるし。
気をつけよう……。
と、深く頷いている間にも家についてしまって。
「あ…あたしの家ここだ。篠原くんの家は?ここまでついて来て大丈夫だった?」
「ついて来てって…。大丈夫だよ、俺の家となりだし」
彼のさらりと吐いた言葉に。
「……は」
(なんですとおおー!?)
あたしは衝撃を隠しきれず、思わずカチンと固まってしまった。
いやああこんなの!
もし学校の誰かにバレたらどうなんのよっ…あたし外でもビクビクしなきゃなんないじゃん!
そんなあたしの葛藤を露ほどもしらない篠原龍斗は、じゃ、と手をあげかけて「あ」と動きを止めた。

