無言で歩くあたしたち。
なんだか気まずい。
ああ、相手が女の子ならもっときゃいきゃいはしゃげたかもしれないのに…
やたらとかっこよくなってるもんだから、変に心拍数が上がって熱い。
あんなキレイな顔で近付けられたら、ねえ…。
「お、懐かしいなここらへん」
「へ?」
「変わってねえのなーここらは。あのしょぼい公園とか」
「ああ…そうだね」
篠原龍斗の視線の先には昔よく2人で遊んだ小さな公園。
今は小さくしょぼく見えても、あの頃は大切な遊び場所の1つだった。
「…たしかブランコから落ちたことあったよね、りゅーちゃん」
「あれはお前が強く背中押したからだろ。つうかりゅーちゃんはやめろって」
「違うよ~篠原くんがか弱すぎたんだよ。すーぐ泣いちゃってたんだから」
「龍斗でいいっつってんだろー。だいたいあの頃はお前が強すぎたんだろーがよ」
「いやいや…あたしそこまで強くもなかったし。篠原が弱かったんじゃない」
「はあ?っつーかお前いい加減に…!」
声を荒げた篠原龍斗から顔をそらして早歩きで歩き出す。
すると後ろから慌てた声がして、むりやりあたしの隣に並んだ。
……今さら名前でなんて呼べるもんですか。

