っていうか、あたしを挟んでなんでこんな…。

腕、頭の上に乗っかったままだし。

重くて退けられないし。


そんなことを考えていると、天にあたしの心が届いたのか、1限目のチャイムがなった。



「あ、チャイム鳴ったから俺席戻るわ」



そう言って篠原は腕を退けて自分の席にようやく戻っていった。

…もう一生こっち来んな。

そして残った愛香は、あたしにチラリと目を向けて。



「篠原くん、すごく爽やかだね!トキめいちゃった!」



……語尾に星マークがついたような言い方だった。

騙されてるんだよ、きみは。

そんなあたしの目線に気付くはずもない愛香は、きゃっと笑うと席に戻っていった。



「きゃっ…てアンタ」



ああ、愛香のキャラが崩壊していく……。

まあともかく、やっと解放されたあたしはようやく一息つけるのだった。