「重っ…ちょ、誰!?」



手さぐりで頭に乗っているものを掴むと、どうやらそれは腕のようで。

まさかと思いながらも頭をあげると…そこには。



「げっ」



爽やかな笑顔をあたしに向ける、篠原龍斗がいた。


黒い笑みでも
楽しそうな笑顔でもない。


爽やかな笑顔。
寒気のしそうなくらい、爽やかな笑顔。


(な、な、何なの……っ)


「人の顔見て“げっ”はねーんじゃねえの?」

「えっ…は?」

「ひどいな~、思わねえ?えっと……佐藤サン?」

「!あ、あたし!?」



話をふられた愛香は顔をほんのり朱く染めて声を裏返らせる。

「佐藤」は愛香の名字だから。

…っていうかあからさまにトキめいてんだけどこの子!



「あれ、佐藤サンで合ってるよね?」

「あっ、う、うん!」

「良かった。間違えたらどうしようかと思った」



そう言ってまた、爽やかな笑う篠原龍斗。

なんて奴だ!完ぺきに自分を作ってやがる!

そしてそれにさらに顔を朱くさせる愛香も愛香だ。

トキめいている愛香は作ってる篠原と同じくらい気色悪い。