笑い出したあたしを倒れこんだ篠原が気味悪そうに横目に見る。



「なんで笑うんだよ」


「いやだってさ…ぷふ、」


「なんだよ」


「意外に可愛いとこあんだね、アンタ」



その時ピクリと眉を寄せた篠原に、あたしは気付かなくて。



「…雪菜」


「え?」


「こっち来い」



そう低い声で言われたとき、ようやく篠原の雰囲気が変わっていることに気が付いた。



「…え」


「早く」


「な、なんで」


「なんでも」


「…やだ」


「いいから。来いよ」


「……っ」


「来いって」



あまりの有無言わせない言い方に、怖くなったあたしは恐る恐る近寄った。


警戒して本当に恐る恐るなあたしに苛々したのか。


倒れこんだ篠原との距離が大分近付いたとき、篠原は突然ばっと体を起こして。



「!」


「逃げんな」



一言。


そして身を引こうとしたあたしの腕を掴み、ぐいっと強く引き寄せて。



ドサ …



途端あたしの視界は、天井一色になった。