教室に戻ると篠原龍斗はもう学校に来ていたようで、相変わらず色んな人に囲まれていた。
あーんな女なら誰にでも手をだすようなやつどこがいいんだか…。
肩をすくめながら鼻で笑うと近くにいた人に変な目で見られた。
……今のなんか1人で笑ってる人みたいだったかも。
「あほだね雪菜」
「うっさいな」
「倍返しするまでもなかったかも。恥ずかし~」
「うっさいな!」
からかう愛香をどなりながらまた篠原龍斗に目を向けるとばちっと目が合った。…気がした。
すぐそらしたから分かんないけど。
「さ、そろそろ授業始っちゃうし自分の席戻ろ」
「そだねー!また来るよ、ばいばい」
「一生来んな。ばいばーい」
愛香と別れて自分の席について、一息。
なんだか今日は色々と疲れるなあ…
今までは平和だったのに。
これもアイツ、篠原龍斗のせいだと恨むあたしは、その男の視線がずっと自分に向けられていることに最後まで気付くことはなかった。

