「……で?」
場所を変えて、立ち入り禁止の屋上へ続く扉の前。
あたしたちはそこに身をひそめて小声で話していた。
ちなみに今は授業中だ。
「あんたはそーんな羨ましい状況にあったことを黙ってたわけ?嘘までついて」
「だ、だからさっきも言ったじゃん…あたしは平和な生活を送りたかっただけで」
「そりゃあ転校生1日目にしてファンクラブなんてものができつつある男と仲良しこよしなんて嫉妬もんかもしんないけど」
「うえっ…」
っていうかそんなもの現実に存在しちゃうんですか。ドン引き…
と、顔にモロ出すあたしを愛香はギラリと睨み付けて。
「そんな大事なことをあたしにさえも話さないってどういうこと!?」
「ちょっ…愛香いま授業中…っ!」
大声を出した。
ばかだ、ばか決定だこの子。
前から知ってたけど。

