ピエロの恋遊び



「?」



首を傾げるあたしに篠原龍斗はにこっと笑いかけて、手をのばす。


そしてそのままあたしの肩を掴むと、力のあまり入っていないあたしの体をトンと壁に押し付けた。


………え。



「え?」



ど、どういう?


行動の意図が掴めず、ただ目を見開いたまま篠原龍斗を見つめると、その男はにっと口の端を歪めた。



「あんさ、篠原とか呼ばれんの嫌なんだよな。他人みてーで」



……他人じゃん。


そんなあたしの心を見透かすように篠原龍斗は目をすっと細めて、顔を少しだけ寄せて。



「龍斗だから……俺。ぜってえ呼べよ」



そう言って。


あたしの唇に自分のそれを軽く押し当てた。



「…――っ!?」




あっ…


あたしのファーストキス、ううう……!!