相手の男の子は怒った顔をしていたけど
昴君の迫力に負けて人込みに消えていった
……ハァァァ−−−
一気にくる安心感から私の口から大きな溜め息が漏れた
それを肩に手を回しながら聞いていた昴君がすかさず
「大丈夫か??怖かった??」
っていつもの穏やかな声で聞いてきた
その顔を覗き込むとさっきまでの怖いオーラは消えていた
「うん…怖かった…」
正直に口にすると
自分が着ている薄手のグレーのパーカーを脱いでそっと私の肩にかけた
「ごめん…先にテーブル取っておこうと思ってフードコーナーの方に行ってたんだ。萌音をちゃんと連れてから行くべきだった…」
って言って優しく抱きしめてくれた
昴君…
さっきまで怖かった気持ちが昴君の腕の中に居ると
嘘みたいに消えて行くのが分かった
男の子の低い声は凄く怖いけど
昴君の声は私を守ってくれる声…
そんな気がした
「昴君…もぉ平気だよ、落ち着いたから…」
腕の中でそぉ呟くと
少し身体を離して……
「そんな可愛い水着着てるからナンパされるんだよ。」
って言いながら唇の端を上げてニヤッと笑った


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