あっ…でも


早くしないと帰っちゃうんだ


急がなくちゃ


「ありがとう。名波君!!」


「おう。」


あえて何も聞かずにいてくれてる彼がすごく大人に見えた


靴を履いて急いで応援席に行こうと走り出す


それなのに…



…ピンポン−−


『ただ今より借り物競争を始めますので参加する生徒は
入場門にお集まり下さい。』



タイミング悪く自分の競技の呼び出しが来てしまった


先生と実行委員5名による
借り物競争


体育祭最後の種目


これが終わったら昴君はそのまま帰ってしまう


どうしよう…


神様の意地悪


せめてもぉ少しだけ時間が欲しかったよ



だけど出ないわけには行かないから


入場門に向かった


今日気持ちを伝える事を


半分諦めて…



何で…折角決心したのに


青矢先輩だって『必ず幸せになれ』って言ってくれたのに



今日伝えなければ昴君と駄目になってしまう


そんな気がするの



だから今伝えたかった


悔しくて自然に涙が零れた