どうしよう…


頭の中が真っ白になる


平気なの


胸がドキドキして
体中から血の気が引くのがわかった


「あ…の…」


「は??」


「ごめん!私ちょっとトイレ!!」



「あぁ!!」


隣で得点ボードをめくる田中君にそれだけ言うと


私は教室を飛び出した



昴君…


震える体を押さえながら
急いで保健室向かって走った



保健室の前まで行きドアに手を掛けると


「おい、昴…マジで平気かよ…」


って名波君の声がした


「あぁ…平気。」


昴君…無事だったんだ


声を聞いて安心していると

「でも、足腫れてんぞ。捻ったんだろ?」


えっ…足??


私が聞いてるなんて知らない名波君はさらに言葉を続ける


「そんなんじゃ、後半のリレー無理だろ。」


自分の体が一瞬ビクッとするのが分かった


そんなに腫れてるの


ドアを開けようかどうしようか迷っていると


「名波…テーピング頼む」


って昴君の声がした


「おまっ!」


「リレーだけは絶対出るんだよ!!死んでも勝ちたいんだ。
大丈夫、少し捻っただけだから…名波、頼むよ。」


苦しい声で昴君が名波君に必死に頼んでる


昴君……


「……分かった。そんかわり必ず勝てよ。」


「サンキュっ!!」


私はドアを開けず保健室を後にした



本当は今すぐドアを開けて止めさせたかった


怪我してまでの勝負なんて


だけど声だけでも伝わってくる
昴君の思いに


ただ黙って見守るしか出来ない



そぉ思った