新人賞祝賀会当日。


いやにそわそわする聡をよそに俺は上の空だった。
昨日からゆきのことを考えてばかりいて眠れなかった。
会いたい、何度呟いたかわからない。



「先生は楽しみじゃないんですか?」



「聡は楽しみなんだ。」



「いや…だって美人ですよ?あんな素敵な小説書けて美人なんてスゴいじゃないですか!」


確かに白雪という小説家は若い割には語彙もあり、まるで読者がその物語に入り込んだような気持ちになれる。
心に響くストーリー性とメッセージ。


…でもそれよりも俺はゆきに会いたい。


まさに重症とはこのことだ。