「そっか…分かった。」 笑顔でゆきを見れば、あまりに痛々しい表情をしていた。 …まるで俺に近寄って欲しくないというように。 それからはあっという間だった。 ゆきは乾いた服に着替え、荷物をまとめて、ありがとうございましたと、言葉を残し去っていった。 ああ、こんなに虚しい気分になったのはあの日以来だ。 * 俺が24歳の時、付き合っていた彼女がいた。 大学の同級生で卒業したら結婚なんて話も出ていた矢先のことだった。