「黄泉様…っ!急にどうなされたのです?」
追いかけてきたのだろうか。歩く私を引き止め、若干息を切らしながら天竜は言った。
「…どうもなっていない。」
それだけを述べ、また歩き進める。弦と咲威が心配そうな眼差しで見ていた。
「…弦、咲威。行くぞ。」
「お、お待ちくだされ!」
村を後にし、取りあえず都に向かう。道中、一回も会話を交わすことはない。寧ろ、ピリピリとした雰囲気が漂う。
「よ…黄泉様?」
そんな、雰囲気に耐えきれなくなったのか咲威が口を開いた。
「なんだ」
「…なにか、気に障ることでも?」
「……気にするでない。」
シーン…
先程より、冷たい空気が辺りを漂っている気がする。


