一刻も速く…この場から立ち去らなければいけないのに。



どうして、この足は思うように歩み進めてはくれないのだろう。



床にくっついてしまったかのように…足が動かない。



…戻らなければ、ならない。



…戻りたくない。



…別れなければ、ならない。



…別れたくない。



…離れなければ、ならない。



…離れたくない。



「…ッ。ぁっ…」



気づけば、涙が容赦なく私の頬を伝っていた。



今、此処を去ってしまえば…



私と天竜は、






二度と…

会えないのだから






…嫌だ。



もっと、ずっと…ッ



天竜と、一緒にいたい。



そんな考えが頭に浮かぶたびに、頭を床に叩きつける。